ニュージーランドのスポーツ法
― スポーツ振興政策とヒラリーコミッション(2/3)―
金沢学院大学教授
根保 宣行
2.ヒラリーコミッションの成立
ニュージーランドでは、国内におけるレクリエーション・スポーツ政策の見直しを行うために、1985年3月、スポーツ振興のための調査委員会(Sports Development
Inquiry Committee)が設立された。委員会は国内の関係団体・個人からの意見書から、Sport on the MoveとRecreation and Government in New Zealandの報告書を作成した。そして従来の1973年レクリエーション・スポーツ法(Recreation and Sport Act 1973)を廃止し、スポーツに関して単独の責任を持つ政府機関を設立するための新しい法令を作る提案を行った。その結果、1987年3月に1987年レクリエーション・スポーツ法(Recreation and Sport Act 1987)が施行された。それまでのレクリエーション・スポーツ省(Ministry of Recreation and Sport)とレクリエーション・スポーツ評議会(Council of ecreation and Sport)は、ヒラリーコミッション(Hillary Commission for Sport, Fitness and Leisure)として改められた。ヒラリーコミッションの任務は、ニュージーランドの全国民にスポーツ、フィットネスとレジャーへの参加を促し、その分野における国民の目的達成を通して、国民の生活の質を向上させることにある。
旧来の1987年レクリエーション・スポーツ法は1992年の改正案によって、現在1987年スポーツ・フィットネスとレジャー法(Sport, Fitness and Leisure Act 1987)と名称が変更されている。
3.1987年スポーツ・フィットネスとレジャー法の概要
ヒラリーコミッションの主たる職務は、スポーツ・フィットネス・レジャーの発達と促進にある(14条)。具体的には、対象者に応じたスポーツ振興のための政策や戦略をプログラム化し、各地域の地方スポーツトラスト(Regional Sport Trust)を通じてそれを実行する。ヒラリーコミッションが実施するプログラムの特徴は、国際的な運動選手の育成から、一般国民が日常生活の中で参加するレクリエーションまであらゆるレベルのスポーツ、フィットネスおよびレジャーの発展をめざす点にある。
この職務に関連して、ヒラリーコミッションは国内のスポーツ組織に対する資金を管理、運用、分配する職務を担っている(15条)。それらの財源は、政府交付金と宝くじによる収益である(23条)。1987年ギャンブル・宝くじ改正法(Gaming and Lotteries Amendment Act 1987)によって、ニュージーランド宝くじ助成委員会(New Zealand Lottery Grants Board)が、ニュージーランド宝くじ委員会(New Zealand Lotteries Commission)からの利益を、ヒラリーコミッションの資金に割り当てることになっている。
参考文献
(1)根保宣行(1998)「ニュージーランドのスポーツ振興と事故防止におけるヒラリーコミッションの役割」、『金沢学院大学文学部紀要第3集』、金沢学院大学、pp.1-9。
(2)根保宣行(1997)「ニュージーランドにおけるスポーツ振興政策とスポーツ事故防止政策」、『日本スポーツ法学会年報4号』、早稲田大学出版、pp. 129-142。
(3)根保宣行(1995)「ニュージーランド事故補償法とスポーツ事故」、『日本スポーツ法学会年報第2号』、早稲田大学出版、pp. 102-108。
なお、再審に対する決定の詳細は、審査官Dave Walker氏から資料提供を受けた。 |