種目別スポーツ責任訴訟と契約責任訴訟2/3

第00022号
2003年1月30日 更新

フランスにおけるスポーツ事故の
訴訟と判例の概況
= 種目別スポーツ責任訴訟と
契約責任訴訟2/3=

神戸大学発達科学部助教授

齋藤 健司

 

 

2.指導者と組織者の職能分離:指導者資格の所持義務

フランスではスポーツ指導者資格を所持していないとスポーツを有償で教えまたは指導することが法律上できない。既に1948年にスキー指導員と山岳ガイド、1951年に水泳救助指導者、1955年に柔道教授等に関する法律が制定され、指導者資格を義務化することで活動の安全確保が図られた。さらに、1963年の法律は、全てのスポーツ種目で指導者資格の所持を義務化した。その結果、1972年には統一的なスポーツ指導者国家免許制度が確立した。スポーツの入門教育が認められるスポーツ教育者初級国家免許、スポーツの技術指導が認められるスポーツ教育者中級国家免許、最上級の資格であるスポーツ教育者上級国家免許の3段階の資格が設けられている(2)。このようにスポーツ指導者資格の所持が義務化されたことで、有料でスポーツを教えることを目的として運営される施設の経営者は、必ずスポーツ指導者資格を所持している指導員を雇用しなければならなくなった。また、スポーツクラブの代表者は、いくら経験が豊富であっても、指導者資格を持っていなければ実践指導を行えない場合も生じ、会員のために特別な指導員を別に依頼する必要も生じた。このようにして、スポーツ指導者資格の義務化制度は、スポーツ技術を教える指導者とスポーツ団体を管理運営する組織者とに職務上の役割分担を生む結果となったのである。そして、スポーツ事故をめぐっては、この指導者資格制度と関連して、スポーツ団体の組織者が適正な資格を有する指導員を確保して活動を行っていたかどうかが争われるようになったのである。

参考文献
(2) 齋藤健司(1998) フランススポーツ法におけるスポーツ指導者資格制度の展開, スポーツ法研究第3号, pp.1-23.


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