フランスにおけるスポーツ事故の訴訟と判例の概況
= スポーツ責任訴訟の傾向と分類2=
神戸大学 発達科学部 助教授
齋藤 健司
フランスの裁判所制度
フランスの裁判所制度は二審級制を原則としている。民事に関する第一審の普通裁判所としては大審裁判所があり、その他に訴額が3万フラン未満の債権および動産に関する事件などを管轄する小審裁判所がある。第二審裁判所としては控訴院がある。さらに、司法裁判所における最高裁判所として破毀院(刑事事件についても管轄する)がある。但し、破毀院は、事件の事実問題を審理せず、下級審で争点となった法律問題だけを審理する裁判所であり、日本の最高裁判所とは性格が異なるものである(1)。
フランスの刑事裁判所は、重罪(死刑、無期懲役、公民権剥奪など)、軽罪(傷害、過失致死、窃盗など)および違警罪(2ヶ月以下の拘禁、2000フラン以下の罰金)の3種類の刑の重さに対応して、重罪院、軽罪裁判所および違警罪裁判所の別がある。軽罪裁判所および違警罪裁判所の判決の控訴審は、控訴院軽罪部が行う。
フランスの行政事件に関する第一審裁判所として地方行政裁判所が存在する。その控訴審は、最高行政裁判機関であるコンセイユ・デタが行う。フランスではスポーツ連盟が下した決定に行政行為の性質があることが判例を通して認められている。例えばスポーツ連盟がドーピングなどの不正を理由に選手に対して競技会の出場停止などの懲戒処分を下したことについて、その処分取消をめぐる行政裁判が行われているのである(2)。
スポーツ訴訟の分類の中で懲戒訴訟がこれにあたるものである。
参考文献
(1)山口俊夫(1984)概説フランス法上,東京大学出版.
(2)齋藤健司(1999)スポーツ連盟の公権力の特権,神戸大学発達科学部研究紀要第6巻第2号, pp.153-170.
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