Q&A法律相談

第00024号
2003年1月30日 更新

Q&A法律相談

総合スポーツ研究所

Q:私の住む団地は自治会活動が活発で、季節ごとにいろいろなイベントを行っています。秋には団地内の運動会を近くの小学校のグランドを借りて行いますが、今年の運動会で私は40歳代のリレー競争に出場し、4コーナーを回ったところで転倒しアキレス腱を切断してしまいました。幸い経過は良好ですが、治療費がかかりました。転倒したのはグランドのコースが前日の雨でぬかるんでいて非常に滑りやすい状態にあったためだと考えております。グランドの管理者である市に損害賠償を請求することは可能でしょうか。

A:小学校のグランドで行われた運動会でこのようなグランドの設備不完全の事故に関連する法律条項は、まず国家賠償法第2条の「道路、河川その他公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ず」があります。
同法2条では「道路、河川」とありますが、法文上の例示であり、公の営造物の解釈が中心になります。学校の施設、設備は当然ながら、プール、グランドも該当します。これを学校の教育活動以外に利用しても、同法2条が当然適用され、設問のように市民の運動会に利用しても、管理責任は市にあり、国家賠償法が適用されます。
しかし、ご承知のようにスポーツは本質的危険性を有していると言われています。スポーツをする上では避けられない事故が多々あるわけです。そしてスポーツは当事者関係がより重視されます。つまり責任能力の問題です。今回の問題では雨上がりのグランドであるということを参加者は充分知って参加したわけですから、参加者自身の過失も問題になってきます。

判例ではスポーツ一般の競技中の事故については、特段の事情のない限り、通常の場合はスポーツ参加者の「危険の同意」理論によって、違法性、責任性を否定するのが通常です。
治療費が多くかかったようですが、自治体等のスポーツ大会においてはスポーツ安全保険に加入しているはずですからスポーツ安全保険の給付を受けることができます。市の管理責任が認定されれば同保険の賠償保険の給付も受けられます。
「みんなのスポーツの時代」はあらゆる人があらゆるスポーツに積極的活発に参加する時代です。その上、学校5日制が完全に実施されるようになれば設問のように学校施設を市民スポーツに利用する機会が多くなります。施設を利用しようとする市民団体は、利用に際してはこの点を充分考慮に入れ、又管理の立場にある者は、参加者の状況、活動内容を充分検討し、安全に配慮することは当然の事ながら事故による責任関係を明確にし、そのことによる紛争を回避し、参加者が安心して、活発に積極的活動ができるよう条件を整備することが肝要です。


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