登山の高校生死亡事故2

第00020号
2002年11月22日 更新

(平成12年3月19日 読売新聞・夕)

登山の高校生死亡
県に5000万賠償命令
浦和地裁判決「熱射病措置欠く」

 

総合スポーツ研究所

1. 民事責任について

遭難事故は冬山では雪崩、雪上の滑落、気候の急変による事故、夏山では落石、落雷、本件のような登山中の日射病、熱射病による事故等多く発生しているが、事故による法的責任の問題は事故件数に対して多くない。それは、登山自体危険な活動であることを承知で登山を楽しみ、危険に積極的に挑戦するスポーツであり、法的にはこの危険は不可抗力(Act of God)即ち人間の通常の注意力では、完全に危険を予見、回避することは不可能であり、この危険は法的には「許された危険」であって、違法性が阻却され、民事的には「危険の同意」として請求権が放棄されているとの
理論によるものであるからである。

以上のような法的判断によって一般の登山における賠償請求等の民事責任(不法行為責任)においては事故による請求権の行使は他のスポーツ事故に比して少ないのであるが、学校の教育活動として行われる本件のような部活動としての事故については、一般的登山事故における、「危険の同意」論ではなく教育活動として「安全に教育を受ける権利」の保障としての「安全配慮義務」違反による「契約不履行」として被害者救済の観点から広範囲に注意義務違反を認定して賠償責任を認定しているものである。

なお本件については、被告県としては判決を不服として高等裁判所に控訴する手段が残されている。

 


<次回に続く>
次回は刑事責任について


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