(平成12年3月19日 読売新聞・夕)
登山の高校生死亡1
県に5000万賠償命令
浦和地裁判決「熱射病措置欠く」
総合スポーツ研究所
山形県朝日町の大朝日岳(標高1870m)で一九九四年、埼玉県春日部市の県立春日部高校山岳部二年、田中洋平君(当時十七歳)が夏山合宿中に熱射病で死亡したのは引率した三
人の教諭が適切な救護措置をとらなかったためなどとして、田中君の両親が埼玉県と三教諭を相手取り、約一億七百十五万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が十五日、浦和地裁であった。
佐藤康裁判長は、「疲労や当時の猛暑などを総合すれば、田中君が熱射病にかかり医療機関への搬送が必要なことは十分認識可能だったが、何ら効果的な措置を取らなかった」として三教諭の注意義務違反を認め、国家賠償法に基づき、県に約五千百万円の支払いを命じた。三教師に対する請求は棄却した。
判決によると、田中君は同年七月二十二日、山岳部の合宿で、顧問の教諭三人、部員八人とともに大朝日岳に登ったが、翌二十三日の下山途中に熱射病で動けなくなった。田中君は38度台の高熱を出し、意識障害も見られたため、三教諭は休ませて足をマッサージしたり、額や首を冷やしたりするなどの措置をとり、その日はテントで一泊。翌二十四日朝、三教諭は肩を貸せば下山可能と判断し、下山を始めたが、田中君は間もなく動けなくなり、死亡した。
裁判では、田中君の発熱や意識障害などの症状を、教諭らが熱射病と認識していたかが争点となり、両親は「一目で熱射病で危険な状態にあることが明かだったのに、下山を続行させた」などと主張。教諭側は「疲労だと思った」などとして、一貫して熱射病などの病的な状態であるとの認識はなかったと反論していた。
桐川卓雄・埼玉県教育長の話「判決を厳粛に受け止めている。今後、このような事故が繰り返されることのないよう指導の徹底を図りたい」
以上ニュースは本件、大朝日岳遭難事故につき被害者の両親が国家賠償法一条により学校設置者である、埼玉県と引率三教諭に損害賠償を請求した民事訴訟に対する判決である。
このニュースについて、山の遭難事故をめぐる法的責任について、検証してみることとする。
<次回に続く> |