遊具管理体制の実態に驚き

第00017号
2002年10月31日 更新

地方自治体の遊具管理体制の実態に驚き

コラムニスト 平光 正則


本題に入る前に、これまでの保育所、小学校等の遊具事故等で、その管理責任が問われるケースが多いが、厚生労働省が発表した保育所など児童福祉施設の滑り台などの遊具で遊んでいて、全治1か月以上のケガをした事故件数が5年間で、なんと2倍になっていたことがわかった。
このまとめについて、同省では「子どもの敏しょう性の低下、大人の不注意など、さまざまな原因が考えられる」といっている。

1996年から2000年度までの5年間に、全国3万4645か所の保育所や児童館、児童養護施設の遊具で起きた事故等を調べたところ、計2613件あった。
内訳をみると96年度340件、2000年度716件の事故件数からすると、この5年間に倍以上に増えたことになる。中でも保育所が90%の2319件も発生している。保育所でも同じように96年度309件であったのが2000年度には倍以上の624件の増え方を示している。
また、同省がまとめた全国の児童福祉施設で起きた、箱形ブランコによる事故が、5年間に146件もあった。このうち死亡事故は2件で、同省では10月29日までに、都道府県に対して、「遊具を点検し、欠陥がある場合には撤去する」よう指導した。
問題の箱形ブランコは、全国の児童福祉施設数の17.9%に当たる6199施設に設置されていることが判った。
事故のあった146件についてみると、
▽体の一部を踏み板と地面の間などで挟んだ事故 66件
▽動いているブランコに衝突した事故      31件
ケガで一番多かったのが骨折の101件であった。

なお、遊具の事故は、全体で、この5年間に2613件にのぼっている。内訳は
▽滑り台514件
▽鉄棒・登り棒401件
の順となっていた。
一方、国土交通省が行った遊具の点検結果によると、平成13年(2001年)6月以降、公園を管理している都道府県や市町村計2025の自治体や国の出先機関の協力で、10万3,680か所の公園に、ブランコ、滑り台、砂場、フィールドアスレチック用具など遊具総数41万8847基あった。このうち安全上問題が見つかった遊具が1万1737か所の公園で1万6073基にのぼった。
これは全施設の11%に当たる。
ブランコの踏み板が壊れていたり、遊具の柱が老朽化したりしていたほか、コンクリートの基礎部分がむき出しになっていた例もあった。いずれも補修、撤去、使用停止などの手当をしたという。
転落して底部で頭を挟まれるなどの事故が相次いでいる箱ブランコでは、底部と地面の間が狭すぎるなどの危険が指摘され、その結果、半数近くが公園から消えた。
特に箱ブランコを巡って、父母らの間で、管理者らの民事責任等を追究する動きが広がり、全国で撤去する自治体が相次いでいる。今回の同省の調査でも、3年前と比べて、公園や遊具の数は増えているのに、箱ブランコは1,000基以上も減っていることがわかった。

また、自治体による維持管理では、目視などの日常点検は、月平均2.9回、専門家らによる定期点検は年平均2.2回であった。
“特に行っていない”と答えたのは、日常も専門家ともに16%にのぼり、管理が行き届いていない実態が明らかにされた。
▽点検を特に行っていない 334  16.4%
▽年1回点検を行っている     45.1%
点検の結果、設置数に対し、安全策が必要となった割合が高かった遊具は、次の通りである。

▽箱ブランコ 13,039基のうち2,912基22.3%
▽木製の複合遊具1,128基10.3%
▽鉄製の複合遊具601基6.7%

数の多さでみると、
▽踏み板式ブランコ3,297基
▽箱ブランコ
▽滑り台2,449基
と身近な遊具が多い。

見つかった欠陥は、ブランコの台座が、くさりからはずれる、滑り台の滑る面がささくれている、ジャングルジムのパイプが変形しているなどであった。
これらの対応策は補修が多く、▽撤去14%▽使用停止10%となっている。

最近の事例を見てみると
▽平成13年10月6日午後2時55分ごろ、宮城県矢本町の大塩緑ヶ丘の鈴ヶ原児童公園で、同所の自衛官(33)の長男で幼稚園児(6)が、二つの滑り台を結ぶアーチ形の橋で、橋の部分の木製プレート1枚(長さ89センチ、幅13.5センチ、暑さ4センチ)が外れ、すき間が出来ていたが、同幼稚園児は、友達とそのアーチ型遊具の上を歩いて遊んでいるうちに誤って転落、かぶっていた自転車用ヘルメットのつばが、すき間にひっかかり、あごヒモで宙づりになったらしい。近所の主婦が発見して110番通報したが間もなく死亡した。窒息死らしい。プレート17枚がボルトナットでつながれたもので、端から7枚目が欠落していた。そのプレートから地面までの高さは1.5メートルであった。

公園を管理していた同町は、4日前の10月2日に点検したところ、プレートが外れているのがわかったので、遊具にロープを巡らせて、使用禁止の張り紙を出していたという。
このように箱ブランコによる、相次ぐ死傷事故を受けて、遊具メーカー142社で組織している社団法人日本公園施設業協会では、幼稚園や公園などに設置される遊具施設の設計や場所についての安全基準作りに乗り出した。これは思いもよらない大事故を未然に防ぐのが目的で、来年には公表したいといっている。
同協では、遊具による危険性を、子どもの発達に必要な冒険的要素で軽微な事故にとどまる“善玉の危険(リスク)”と、大事故につながる“悪玉の危険(ハザード)”に分ける考え方を採用している。
遊具の高さや間隔などについて、リスクは認めても、ハザードとなるような危険性は取り除くことを目的に安全基準をつくるという。
ハザードの基準は、年齢によっても異なるため、▽3〜6歳用と▽10歳用の2種類の基準がつくられる。同協会では、メーカー側が予測も出来ない遊び方による事故までは防ぎきれない、と話している。


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