生徒は不調を訴えたのに、なぜ強行
コラムニスト 平光 正則
学校スポーツで起きた事故で、その被害者と関係人が自治体を相手取り損害賠償を求める訴えを起こしている中から主なものを拾って、参考までに取り上げ、管理者らに注意を喚起しておきたい。
《その例1》
この事件は3年前にさかのぼる。小平市内の男子高校生(16)が、同市立第一中学校の生徒だった平成10年(1998年)4月、陸上部の練習中、担当教員の指示で、スターターとして耳栓をしないままスタートの合図のピストルを連続して約30回撃たせた。
生徒は、その最中に耳の痛みを訴えたが、その担当教員はそのまま撃ち続けさせた。そのことが原因で難聴になったという。そこで、生徒とその母親が、小平市を相手取り、クラブ活動に参加する生徒の安全に配慮する義務を怠ったと主張して、約2,240万円の損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所八王子支部に起こした。
まず、この担当教員は、スタートの合図をするピストルの衝撃音に配慮して、なぜ、その生徒に耳栓をさせなかったのか疑問が残る。さらに、生徒が耳の痛みを訴えた異状に、すぐさま対処しなかったのかが第2の疑問である。なお、これが原因で難聴になったと訴えているのに、3年もの間、担当教員はもちろんのこと、学校管理者が、なぜ、放置していたのかが、第3の疑問である。
万全の事故防止策をあえて破り、さらにその事故を長年にわたって放置した、常識では考えられない対処の遅れが招いた結果といえよう。
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