冬山登山・スキー場事故
東京女子体育大学助教授
入澤 充
★大学生ら登山中に転落死
1998年10月26日午前7時20分ごろ、三重県大杉山登山中に大学4年生と会社員が転落し死亡しているのを捜索中の警察署員らに発見された。
調べによると、25日4時ごろ登山センターから「登山者が下山中にリュックサックを拾った」と警察署に届け出があったため、中をみたところ免許証から二人の身元が判明した。
(日本経済1998.10.26夕刊)
★北大生冬山訓練で3人不明後に無事下山
1998年11月4日、北海道大学大学院生と学部学生2人の計3人が、アルバイト先に登山に行くと言い渡し大雪山系旭岳方面に向かったが、出勤日になっても戻ってこないとアルバイト先の学習塾から警察署に届け出があった。警察署は遭難の恐れもあるとみて、5日午前、約10人体制で捜索を始めた。また北大も対策本部を設置、30人体制で情報収集などを続け、6日朝にも教職員と学生ら数10人で捜索隊を組織し、遭難現場に向かわせるという。
(北海道1998.11.5夕刊)
登山に行くと言ったまま予定が過ぎても戻ってこない北大生3人に対する捜索は、警察署、北大関係者によって行われていたが、6日朝、層雲峡黒岳付近を自力下山中のところを捜索していた北大ワンダーフォーゲル部のパーティーに発見された。3人は1日に旭岳に入り黒岳から層雲峡に抜け、3日下山する計画だったが、悪天候が続いたため、2日夜から黒岳の避難小屋で天候の回復を待っていたという。
3人は入山届けを提出せずに登山をしたため、捜索側がどこに登ったか確証がつかめず手掛かりのない捜索を続けていた。さらに発見された後、迷惑をかけたことを詫びながらも「捜索隊の要請を頼んだ覚えはない」「私たちの登山のどこが無謀なのか」と反論をしていた。
(北海道1998.11.6夕刊)
★スキー場死亡事故で村の賠償額3600万円 学生の過失6割認定
1994年1月に野沢温泉スキー場で転落死した東京都内の学生の両親が「事故は防止設備の不備が原因」として、スキー場を管理する長野県野沢温泉村に8,500万円の損害賠償を請求した事件の控訴審判決で、東京高裁は、村の危険防止対策の不備は認めたが、「スキーヤーにも危険個所を通過する際の注意義務があった」として大学生の過失6割を認定し、村の過失8割(約6,900万円支払い命令)という第1審東京地裁判決を変更して、村に約3,600万円の支払いを命じた。
(信濃毎日1998.11.26)
★スノーモービルと衝突死、大鰐温泉スキー場に損害賠償請求
1998年1月青森県大鰐温泉スキー場で、同町の小学5年の男児がスノーモービルと衝突、死亡した事故で、男児の両親が11月17日までに、スキー場を経営する第3セクターとスキー場の元パトロール隊長を相手に、約5,450万円の損害賠償訴訟を提起した。
訴えによると、同スキー場で練習をしていた男児が、元隊長が運転するスノーモービルに衝突され死亡した。元隊長には事故の刑事責任については業務上過失致死で罰金50万円の略式命令が出された。
(河北新報1998.12.18)
◆問題点
登山事故防止については、文部省体育局長通達が毎年出され、事故防止に万全を期すよう学校関係者等に求めている。北大生の事例は、大学院生及び大学生が登山計画を明記した入山届
の提出も怠った上での事件で、関係者の「冬山登山の基本的ルールが守られなかった軽率な登山」という批判は当然といえよう。
スキー場のゲレンデは、スキーヤーの生命・身体の安全を確保し、危険の生じることを防止するための措置が講じられていることが必要である。
昭和62年6月旭川地裁は「スキーヤーの滑降場所付近は障害物を除去し、必要な設置物については直撃の場合に生じる重大な結果を阻止するための防護設備を備えることを要し、かかる措置が講じられていないゲレンデは土地の工作物の設置・保存に瑕疵があるというべきである」旨の判決を出している。
一方、スポーツにおける自己責任について、本事例でも6割の自己過失、旭川地裁判決でも75%の過失を認定しているように危険性の高いスポーツを行う際には、プレイヤー自身の注意義務及び自己責任が厳しく問われることはいうまでもない。
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