東京都市立中学校事故裁判
伊 藤 堯
<事故と裁判の概要>
市立中学校で1989 年に発生した校内暴力事件で地裁八王子支部は97 年3 月末同市に2082 万9169 円の損害賠償を命じる判決を言い渡し、市は控訴を断念したが、同訴訟で支払う費用は総額3154
万2 千円に上ることが分かった。この内判決額を除いた約1071 万円は原告弁護士と市の顧問弁護士の費用であった。同問題では、裁判長から3 回の和解勧告があったにもかかわらず、弁護士の意向でこれを拒否し、結局敗訴したことから、同市議会は、先月の全員協議会で「和解に応じれば、解決も早く、支払い金額ももっと低額に抑えることが出来た。弁護士の意見をうのみしたもので、民事裁判への対応が適切でなかった」と市の対応を批判した。
(読売H9 ・5 ・29 )
<問題点>
本件は直接的にはスポーツ事故ではないが学校事故としての関連からとりあげた。控訴して最後まで争った方が良かったか、この段階で和解した方が適切であったかは、結果論で適否の判断は分かれるところである。しかし、問題解決の担当者としては、事故の実体を正しく判断すると同時に、問題解決を専門家である弁護士に依頼したとしても、常に連絡を密にするとともに、この種事件の判例を研究し、弁護士と対応する心構えが必要である。「悪しき平和も正しき闘争にまさる」(法実証主義)という法格言がある。絶対的正義のために、永い時間と金をかけて戦うより正義の点で多少不満足な点があっても問題を早期に解決した方が良い場合がある、ということである。事故問題に際して双方が考えるべき格言である。
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