アスレティックトレーナー8

第00040号
2004年5月12日 更新

アスレティックトレーナー
高校部活動の現場から

Part8:バーンアウト続き

米国NATA公認アスレティックトレーナー 

八田 倫子

 

<多すぎる天王山>

 筆者が初めて埼玉県の高校バレーボールの地区トーナメントに帯同した際、初日から3試合もゲームをこなさなくてはならない試合進行に驚かされた。バレーボールは25点制の2セット(都道府県大会決勝や全国大会などでは3セット)先取であるが、ラリーが続くゲームが多かったり、すべてフルセットに持ち込まれたりした時の選手たちの疲労度はここで改めて言及するまでもなく、翌日勝ち上がっていく体力を一晩で回復するには10代の若さでも困難を要する。
 対するアメリカの高校チームのゲーム数はせいぜい週に1〜2試合。郡内全ての学校と総当たりでホームとアウェイの公式試合を行うが、リーグ戦のため失敗しても『また来週頑張ればいいや』ぐらいの姿勢でいるチームもある。シーズン最後の成績で郡(county)を制すれば、州のトーナメント、更には全米トーナメント(大学の場合は地方リーグを経て、全米トーナメント)へ出場できる。例えトーナメント方式の大会であっても、同日に3試合もこなすというスケジュールは組まれない。
 年間を通した公式戦の数の違いも日米で歴然としている。日本の高校を例にとると、春の関東大会を皮切りに、夏のインターハイ、秋の国体や新人戦、競技によっては冬の選手権、そして早春の選抜大会など、公式試合だけでも一年中大きなトーナメントが目白押しで、その合間に合宿や招待トーナメントが入る。競技ごとに重要な大会がそれぞれ異なりはするが、どれも公式戦であるから常にヤマ場で力が入りっぱなしである。結果、選手はいつも疲れていて、オフシーズンがないためリフレッシュさえできない。目標設定をして、ひとつの大会にのみ集中するということが日本の環境では難しい。対してアメリカはシーズンが短いうえ、公式試合といえば基本的に郡優勝をかけて戦う前記のリーグ戦のみである。
こうした環境の違いから、上のレベルにあがってその競技を続けてゆく前に気力が失せるバーンアウト症候群に陥ったり、使いすぎ(オーバーユース)からくる慢性障害に悩まされたりする選手が多いのは、残念ながら日本のほうなのである。

<次回に続く:スポーツが好きでいられるか>


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