アスレティックトレーナー
高校部活動の現場から
Part 3:多忙な学校教師
米国NATA公認アスレティックトレーナー
八田 倫子
<多忙な日本の学校教師>
事故やケガが部活動中に起こった際の応対を、日本では通常、現場の顧問教諭がすべて担わなければならない。大学生にもなれば、選手たちもマンパワーとしてカウントできるかもしれないが、高校生やそれ以下の年齢の生徒に対して、緊急事態下に沈着冷静に協力をしろというのは難しい話である。また、大きなケガや事故が発生した場合、救急救命隊員が到着するまでの数分間も生命やその後の後遺症残存を分ける貴重なタイムゾーンとなり得るのだが、ケガや疾患に対する対処法の知識がないために何もできず、ただ亡くなっていく選手を見守るしかなかったという非常に残念なケースがあるとも聞く。
筆者が日頃一緒に仕事をしていて感じるのは、高校の先生は実に忙しいということである。授業や担任、生徒指導、進路指導、職員会議等の本職以外に、まさにボランティアの精神で熱心に部活動指導にあたられ、365日稼動される顧問の先生方に、これから更に医学的知識までつけろというのはあまりにも酷な話である。誰か一人でも、先生方に協力できるスタッフが入ることで、より質の高い課外活動と安全性が確保できるのでないだろうか。東京都を始めとする幾つかの都道府県教育委員会では、中央が経費面のバックアップをしながら、部活動に外部の人間を導入できるシステムを持つ。これは、教育免許や競技指導の知識があっても就職浪人を余儀なくされる若い人材や、筆者のようなフリーの人間への雇用対策の一環でもあるのだが、このような制度をきっかけとして、年間数千時間を費やす部活動が、生徒たちにとってより安全であり、保護者にとってより安心であり、10代が貴重な時間と熱意を注ぐ対象としてよりふさわしいものとなるよう願って止まない。
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