はじめの一躍
〜井の中の蛙、異の中の蛙へ〜
三段跳び日本歴代3位タイ記録保持者
井原 福代
Episode 9 【自分の身は自分で】
アメリカではたくましい体をした人を多く見る。一般人でも、年老いていても、筋肉質な人が多いのは皆さんもご存知の通りだ。では、なぜ多くのアメリカ人がスポーツやウエイトトレーニングを趣味や楽しみで行うのだろう。私は語学学校の授業が始まって間もなく、警察官による講習を受ける機会があった。自分の身をどのように守るか?というテーマだった。その時に、警察官から筋肉質の大きな体の男性と小さくて細い男性とどちらが襲われやすいか?という質問をされた。アメリカ人がトレーニングをする理由は外見や健康のためだけではなく、自分の身を自分で守るという理由もあると思う。日本のような治安の良い国ではそういう発想にはあまり結びつかない。まず自分の身を守ることを考えざるをえない環境は、スポーツにおける精神面にも大きく影響してくると思う。自分の身を自分で守れるという強さは、競技における精神的な強さにもつながってくるだろう。何か、アメリカ人選手からは自分の可能性に限界を作っていないという感じを強く受ける。以前の私の短所でもあったのだが、私自身自分の可能性に限界を作ってしまい、目標が夢のように感じてしまうことが多かった。しかし、アメリカに来てからは自分自身でブレーキをかけることなく、目標に向かって挑戦していくことの大切さを学んだような気がする。アメリカ選手の積極的な動きは、その内面を表しているようにも思える。前回も述べたが、自由があるということは自分の考えで自分の道を進むことができる反面、その責任は自分が負わなければならない。日本で生活経験のあるアメリカ人から面白い意見を聞いた。日本人はとても親切でいろいろと身の回りの世話をしてくれるが、それを続けることはその人の自立の妨げになる、その人のためにはならない、という意見だ。とてもアメリカらしい考え方だと思った。私もこちらに来てからは片言の英語しか話せないが、どんなに自信がなくてもまずひとりでやってみる。自分のことは自分で責任を持って行うように心がけている。そういった行動ひとつひとつが、少しずつ私自身を強くしてくれているように感じる。
|