1.入力証による入場管理
泳力の認定方法に問題があり、泳力証による安全管理のあり方について裁判所は次のように判決した。
「Aの就学先の小学校では日頃、児童は水深85cmないし1.2m、長さ25m、7コース(幅15m)からなる学校プールにおいて、教師4名の指導・監督のもと能力検査がなされ、50m泳ぎ切ったならば泳力証が交付されることになっている事実が認められ、他の小学校についても同様であろうと推認されるから、日頃は学校プールで水泳練習し泳力証を得た小学生において、本件の大プールで遊泳するにあたり、それが競泳用施設の規模を有し自律・開放的に利用せられるという環境の相違に直面して、果たして学校プールにおけると同等の水泳能力を発揮し得るとはにわかに考えられず、その点を考慮したうえで大プールの安全管理をする必要がある。」
2.監視員の過失
第一審判決では大プールにたまたま監視員がいなかったのは、事故の原因となる過失でないと判決したのに対し、第二審判決では、これを否定し、過失であるとして次のように判決した。
「本件事故当時1名の監視員は監視台上で大プールを監視し、その視点からのAの水泳事故の発見が遅きに失した点は多分にやむを得ないと思われるものがあるが、もしも監視員2名が大プールの巡回監視に従事していたならば、必ずや事故を発見して適宜にAを援助し死亡に至らしめることはなかったであろうし、あるいはそれが監視員1名の巡回監視の場合でも、もう少し早期に事故を発見できて事なきを得られる確率も相当程度高かったと推認されるところ、現に巡回監視の任にあった2名の監視員は、小プールに赴いてしまい、大プールには巡回監視員不在の状況を現出させ、かくして必要とされる監視の眼が行き届かなかったために本件事故を発生させたものであり、しかも2名は小プールを挟んで14mの間隔で対面しているわけであるから、容易に相手方の存在に気づいていたはずであるのになおもとどまり、さらに出入口で検札していた監視人も巡視員が短時間内に2名とも大プールから退出しようというのに、これを制止しなかったものである。
結局、3名の作為・不作為が相まって大プールにおける巡回監視不在状況を現出し、もしくはこれを現出せしめたというべき行為は、大プールを主として巡回監視するようにとの業務指示に違反しているのみならず、ひいては大プールの遊泳環境に重大な危険を招来し、ついには本件事故の発生原因となったものであるから、監視員3名の作為・不作為は共同して大プールお遊泳者に対する危険防止義務を懈怠することに該当し、本件事故発生について過失を構成するというべきである。」
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