春山合宿訓練中死亡事故3/3

第00086号
2004年6月24日 更新

春山合宿訓練中死亡事故3/3


(山形地裁昭和49年4月24日判決、伊藤堯著『体育法学の課題』道和書院、1980年、117頁
『体育・スポーツ事故責任 安全対策質疑応答集』第5章野外スポーツ 4312頁)


東京女子体育大学助教授

入澤  充

4.判決から学ぶ校外活動の注意事項

【指導者の義務】
本件と同じように平成6年7月埼玉県春日部高校山岳部員が朝日連峰で登山中、熱射病によるショックで死亡する事故が起きている。これもまた引率教諭の業務上過失致死罪が問われた事件であるが、山形地検が「死亡は予見できなかった」と教諭を不起訴処分にした。その後被害生徒の両親はこの決定を不満として山形検察審査会に不起訴不当の審査申し立てをし、同審査会は業務上の過失があったとして不起訴不当と議決をしたが、山形地検は再捜査した結果再び不起訴処分にした。同事件について河北新報は「朝日連峰で高校生死亡 引率教諭また不起訴 山形地検」と1999年7月20日付けで報じている。
また、朝日新聞は1999年9月27日に「北海道羊蹄山ツアーで女性2人が遭難死亡」した事件を報じている。いま中高年の登山ブームの中で旅行会社は競って魅力的なツアーを企画しているが、添乗員の登山経験も十分に考慮しなければならない。さらにツアーという性格上参加者の技量・体力等未知数のものがある中でその行程は無理なく、より慎重でなければならない。本件のように台風一過のあとの天候状況の把握は長年の経験だけで判断することは避けるべきだろう。
判決でもいうように「登山というスポーツは危険と絶えず対峙しながら自己の体力および知力を使い尽すことにその本質がある」ため、高校1年生や中高年を参加させるには細心の注意が必要なのである。
山形市立商業高校事件の場合、顧問教諭に対して業務上の行為を認定した上で過失を否定したことは、スポーツの本質的危険性について理解を示したものであるから指導者は事故防止のために一層の注意義務を負って指導監督しなくてはならない。


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