春山合宿訓練中死亡事故1/3

第00084号
2004年5月12日 更新

春山合宿訓練中死亡事故1/3


(山形地裁昭和49年4月24日判決、伊藤堯著『体育法学の課題』道和書院、1980年、117頁
『体育・スポーツ事故責任 安全対策質疑応答集』第5章野外スポーツ 4312頁)

東京女子体育大学助教授

入澤  充

ハイキング気分で気軽に登っての事故や本格的登山の中での事故など今年も山の事故が多い。山を楽しむことを目的にしながらも一度事故に遭遇したら、リーダーや指導者、企画者は「業務上過失」を問われることもある。
この事件は「安全配慮義務」「注意義務」及び「業務上過失」が問われたものである。判例の中から日頃の指導者の注意すべきことを確認していただきたい。

1. 事故はどのようにして起こったか

本件は、数多くの登山経歴を有し、技量経験は山形県山岳連盟常任理事を勤めるなどベテランであった顧問教諭のもとで高校のクラブ活動を行っていた山岳部員(2年生1名、1年生3名)が、昭和42年3月31日から4月6日までの予定で磐梯朝日連峰で春山登山合宿を実施したところ、予想しなかった悪天候のため生徒3人が疲労と寒気のために遭難し凍死したことに対して引率顧問教諭の業務上過失が問われたものである。
事件は、4月4日午前6時頃、顧問教諭がトランジスターラジオで天気予報を聞いたところ、海上山岳方面は荒れ模様になるから注意するよう放送をしていたが、当時小屋付近は高曇りで見通しはよく、風も吹いておらず、また経験からも午後1時頃までには大朝日小屋に着けるはずで、仮に途中で風雨・風雪にあうとすれば大朝日小屋に着く少し前で、その間わずかの距離にすぎないから、出発しても大丈夫と判断し、部員らとも相談の上、午前7時ころ小屋を出発したことに端を発する。

<次回に続く:事件の争点と裁判所の判断>


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