剣道部員の遊びによる受傷事故と校長・顧問教諭の責任2/3
「市立中学校剣道部ホッケー遊び受傷事故」
(神戸地裁、平成9年8月4日判決 損害賠償請求事件、判例時報1641号112頁)
東亜大学法学部教授
小笠原 正
3.裁判所はこの事故をどのように判断したか
裁判所は本件を、体育祭の予行練習後に予定された部活動である中庭での練習に備えて竹刀を取り出すため、格技室に立ち寄った際に発生したものであり、教育活動の一環として行われる部活動と密着した生活関係において発生した事故であると認定した。その上で、剣道は、伝統的格闘技であると言っても、防具をつけ、竹刀を持って練習や試合をする範囲内では格別危険性があるものではなく、竹刀も、衝撃を吸収するため割竹四枚を組み合わせた上、剣先を皮等で丸くまとめてあるという形状に照らし、それ自体危険性のあるものとは言えず、中学生ともなれば、危険性の認識やその回避について相応の経験、判断力が備わっているのであって、過度の監督は生徒の自主性、自立性を損なうおそれのあることをも考慮すれば、竹刀の目的外使用によって具体的な危険の発生が予見されるような特段の事情がある場合を除いては、顧問教諭において竹刀や防具の使用について一般的注意をし、また、竹刀が目的外に使用されていることを発見した場合に注意する以上に、危険発生を防止するために、常時の監視や他学校との連絡による調査まですべき注意義務はないとし、学校長及び顧問教諭に、部活動及びこれに密接に関係する生活関係において指導監督上の注意義務違反があったとは言えないと判断した。
次回に続く |