ウインドサーフィンで疾走中に波待ちのサーファーと衝突した事故における責任2/3
「海における衝突事故」
(大阪地裁、平成9年6月13日判決 損害賠償請求事件、判例タイムズ959号193頁)
弁護士 望月 浩一郎
2.裁判所はこの事故をどのように判断したか 
本判決では、Yの責任を次のとおり肯定した。
「本件現場付近は比較的海岸に近く、多数のサーファーの存在が予想される区域であるから、ウインドサーフィンの遊技者であるYは、ウインドサーフィンの急制動が困難という特質を考慮の上、サーファーと衝突しないよう、サーファーの有無を十分に確認し、サーファーが存在しない場所を進行すべきであったのにこれを怠り、沖の方へ向かう時に確認したサーファーの位置を前提に、もはやA点(注−判決添付図面上の特定の位置)より南側にはサーファーはいないものと考え、特段の注意を払うこともなく、漫然とウインドサーフィンを進行させた過失により本件事故を起こしたものであるから、Yには大きな過失があった」として、民法709条に基づきXに対する損害賠償義務を肯定した。
本判決は一方で、「本件現場付近には、本件事故以前からウインドサーフィンが侵入してくることがあり、X自身、以前からウインドサーフィンとの衝突の危険性を感じていたというのであるから、Xも波待ちの際にはウインドサーフィンの動向に十分注意すべきであったというべきである。本件においては、Yのウインドサーフィンは、Xの前方から接近しており、当日の波のうねり等の事情を考慮したとしても、Yのウインドサーフィンには4.6mのマストがついていたことからすれば、Xは、より早期にYのウインドサーフィンの接近に気付き、危機を回避することも不可能ではなかったと考えられるのに、実際には、本件事故の2、3秒前に初めてYのウインドサーフィンに気付いたというのであるから、Xにも前方不注意の過失があったといわざるを得ない。したがって過失相殺を行うのが相当であるが、Xの過失割合は、本件事故の態様、ウインドサーフィンとサーフィンの機動性等その特性の差異、双方の過失の内容等を考慮すると、1割5分と認めるのが相当である」とXの過失を認め過失相殺を行った。
本判決においては、休業期間、休業損害算定のための基礎収入、後遺障害の程度・内容、また後遺障害と本件事故との因果関係も争点となっている。
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