部活動中の死亡事故に対する校長・顧問教諭の法的責任3/4
「町立中学校柔道部練習死亡事故」
(新潟地裁高田支部、平成9年1月30日判決 損害賠償請求事件、判例時報1633号124頁)
日本体育大学教授
緒方 章宏
3.裁判所はこの事故をどのように判断したか 
1)A君の死亡原因について
A君の死亡原因は、柔道部での投げ込みの練習中に頭部の額から上の部分に鈍的な外力及び回転性ないし直線的なかなり大きい外力を受けたことによるものであると認められる。A君は、受け身は一応できるようになっており、「背負い投げ」や「内股」などの通常の技には対応出来たと認められるが、「後ろ腰」は最も衝撃が強く、不完全な「後ろ腰」は頭部を打つ可能性が大きいことから、A君は「後ろ腰」に対する受け身の技量については不十分であり、「後ろ腰」を掛けられたとき苦しそうな顔をしていたことなどから、A君の脳挫傷の原因は「後ろ腰」にあると認めた。
2)顧問教諭及び校長の過失責任について
本件事故が起こった柔道部活動は、中学校の正規の教育活動の一環としての課外活動であり、このような教育活動の一環として部活動を企画・実施するにあたっては、校長・部活動指導教諭は、部活動によって生ずる危険から生徒の生命・身体の安全を保護する安全配慮義務がある。特に、柔道部活動は、スポーツ活動とはいえ高度の危険性を伴う格闘技であり、中学生は未だ心身の発達が充分ではない。従って顧問教諭は原則として、練習に立ち合って指導監督し、立ち合えないときには、練習を中止させるか、危険の予想されない練習内容にとどめるべき義務を負うと認められる。顧問教諭は、普段から講道館柔道試合審判規定・少年規定にのっとり禁止されている事項は一切しないこと、危険な行為はしないよう指導はしていたが、事故当日は「後ろ腰」については、部長に特に注意を与えておらず、また安全対策として決められていた巡視する者を決めることを提案しておらず、他に何ら柔道部活動についての安全につき配慮していないことから、生徒に対する安全配慮を怠った過失があると言うべきであるとして顧問教諭の過失を認めた。また、校長の責任についても、校長は、各部活動を統括する立場にあり、直接柔道部員を指導する立場にはないが、統括者として柔道部員を直接指導する顧問教諭を監督する義務を負っており、事故当日は、定例職員会議により柔道部活動に教諭の誰も参加できないことを知りながら、このような場合の巡視態勢について確認しなかったのであり、統括者としての校長にも生徒に対する安全配慮義務を怠った過失があることを認め、国家賠償法第1条1項による損害賠償を命じた。
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