部活動中の死亡事故に対する校長・顧問教諭の法的責任1/4
「町立中学校柔道部練習死亡事故」
(新潟地裁高田支部、平成9年1月30日判決 損害賠償請求事件、判例時報1633号124頁)
日本体育大学教授
緒方 章宏
中学校の柔道部員が、部活動としての柔道の練習中に頭部を強打し、脳挫傷により死亡した事故で、死亡した生徒の両親が、部活動の顧問教諭及び校長に安全管理上の注意義務を怠った過失があったとして国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めていた事件で、裁判所は、顧問教諭及び校長の過失を認め、町に対し国家賠償責任を認めた。
1.事故はどのようにして起こったか
Y町立中学1年の男子生徒A君は、中学へ入学と同時に部活動としての柔道部に入部した。柔道部の活動は、課外活動として正規の教育活動に含まれる活動である。
A君は、平成6年6月20日午後3時45分頃より学校内の柔道場での練習に参加し、投げ込みの練習中、午後4時15分頃になって吐き気を訴え、顔色も悪くなり、休憩を取るため歩き出したところで突然倒れ意識を失った。当日は、定例の職員会議が開かれ、顧問教諭は職員会議出席のため柔道部の練習には参加していなかった。生徒からの呼び出しで職員会議を中座し顧問教諭が道場に駆けつけたときには、A君は意識不明の状態であり、直ちに県立M病院へ搬入され応急処置を取った後、午後6時40分頃県立中央病院に転送され人工呼吸等の処置を受けたが、昏睡状態を続け、翌21日午後6時45分に急性硬膜下出血を伴う脳挫傷により死亡した。原告である両親は、A君の死傷の原因は、投げ込み練習中に上級生Dの「後ろ腰」の受けとなった際に、これに対する受け身の技量が十分でないため、頭部を強打し脳挫傷により死亡したと主張した。「後ろ腰」とは、受け身のからだを後から抱き抱え、前腰を突き出して体を後にそらせ、はずみをつけて、受けの体を前上方にほうりあげ、真下に投げ落とす技であり、プロレスのバックドロップに似た非常に危険な技であり、型が崩れると受け方が、後頭部を打つ可能性の高い技である。
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