小学校の広場に設けられた 遊具の設置管理責任3/3
「回転シーソー握り棒の先端による打撲事故」
(山口地裁下関支部、平成9年3月17日判決 損害賠償請求事件、判例時報1637号104頁)
中京大学体育研究所
吉田 勝光
3.判決の解説と問題点の整理
1)小学校を含めた学校ではプール事故の防止についてまだまだ高い関心が持たれているようである。しかし、小学校では遊具の安全性について関心を持つことも重要である。その利用される回数においては、プール以上であり、また、事故も発生しているからである。
2)こうした中で、本判決は、回転シーソーを持つ小学校の安全を確保するための対策の一つを示した点で意義がある。すなわち、回転シーソーが、主として低学年用の遊具が設けられている広場に設けられている場合には、他の児童が不用意に近付かないように保護柵等の設備が必要であることを示した。
3)また、本判決は、腐食とか破損とかいった遊具自体の欠陥ではなく、保護柵等が無かったという、安全を確保すべき付属設備の不備が問題とされた事例であった。
この点、福岡地裁小倉支部昭和58年判決(判例時報1105号101頁。回転シーソーのストッパーと支柱との間に緩衝装置が設けられていなかったことが安全性を欠くとされた事件)も同様である。これは、小学校側としては、パイプの腐れ、ヒビ割れ等といった遊具自体の点検のみならず、遊具を利用する際の安全性を確保するための付属設備について、欠けるところはないかを十分認識して点検をする必要があることを示唆している。また、教育関係機関が、小学校に対し、遊具の安全性に関する調査をする場合にも、この点を認識しつつ、付属設備の不備についても触れる調査内容にすべきであるということである。
4)しかし、本判決は、具体的に、誰がどのように遊具の点検(安全性の判断)をすればよかったかについては触れていない。今後は、上記の本判決の内容に留意しつつ、児童の行動に詳しい教員や事務職員等が行う(学内点検)とともに、市町村(教育委員会)が遊具の管理に関する専門家(業者)に定期的に点検を委託する等の処置をとることが必要であろう(学外点検)。この経済的低迷下、市町村財政の苦しさは理解できるが、一旦敗訴すれば、多額の支出は避けられないし、それ以上に事故の発生を未然に防ぐことができる(市町村民の安全確保)のであるから、点検措置に税金を支出する価値は十分にあるといえよう。
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