回転シーソー握り棒の先端による打撲事故1

第00047号
2003年5月22日 更新

小学校の広場に設けられた遊具の設置管理責任1/3
「回転シーソー握り棒の先端による打撲事故」

(山口地裁下関支部、平成9年3月17日判決 損害賠償請求事件、判例時報1637号104頁)

 

中京大学体育研究所 

吉田 勝光

Y市立小学1年生が、鬼ごっこの鬼から逃げるために同級生の後をついて走り、回転シーソーの近くを走り抜けようとしたが、その手前でころんだ。起き上がろうとしたところへ、四年生が遊んでいた回転シーソーの握り棒(先端)が頭に当たった。裁判所は、この回転シーソーは、通常備えるべき安全性を欠いているとして、Y市の損害賠償責任を認めた。

1.事故はどのようにして起こったか

Y市立の小学1年生X(女児)は、学校内の「なかよし広場」で鬼ごっこをして遊んでいた。Xは、鬼から逃げるために同級生の友達の後ろをついて走り、この広場に設けてあった回転シーソーの付近を走り抜けようとした。ところが、回転シーソーの手前でつまづき、転んでしまい、地面に四つんばいになって倒れてしまった。

回転シーソーでは、4年生の4人(女児。A、B、C、D)が遊んでいた。Aは、回転シーソーの片側の握り棒の両端を両手で持ち、ぶら下がりながら、時計回りに回っていた。Bは、反対側のはしご部分の右側支え棒を両足で挟み込む格好で握り棒に腰掛けていた。Cは、他の子が握り棒に腰掛けた側のはしご部分の下部の支え棒左端を持ち、回転シーソーを押しながら、時計回りに走って回っていた。Dは、そばでこれを見ていた。
Xが再び走り出そうとして体を起こそうとしたとき、地面から約57センチメートルの位置で(Bが握り棒に腰掛けていたために低くなっていた)、回転シーソーの握り棒の先端が、Xの前頭部右側を直撃した。Xは、頭部外傷等の傷害を負った。
この小学校では、昭和61年に体育館裏の敷地に、主として低学年(1、2年生)用として「なかよし広場」を作った。そこに、固定円木、フープジム、ブランコ等を設けた。回転シーソーは、グラウンド内にあったものを、この広場を作った際に移された。
同校では、回転シーソーを3年生以上の児童が使用してよい遊具に指定し、低学年の児童の使用を禁じていた。そして、1年生の入学時に、担任教師が、児童を連れて校内を案内して回りながら、遊んではいけない遊具や場所等を説明する際、回転シーソーでは遊ばないよう指導し、危険だから回転シーソーの周りには不用意に近づかないよう注意を与えていた。
「なかよし広場」内に設けられた遊具のうち、ブランコの周囲には、保護柵が設けられていた。しかし、回転シーソーには、保護柵等は設けられていなかった。今回の事故の発生後、職員会議で検討され、保護柵が設けられた。
Y市内の小学校では、平成2年と3年には、回転シーソーの近くにいた児童の頭部に回転シーソーが当たって、その児童が頭部を負傷したという事故が2件発生している。

次回に続く


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