「スキー・スノーボード楽しく安全に」4

第00036号
2004年1月19日 更新

ウインター特集
「スキー・スノーボード 楽しく安全に」4

福井大学教育地域科学部助教授
全国スキー安全対策協議会調査委員会委員
日本スポーツ法学会会員水沢 利栄

ゲレンデのルール
状況考えスピード制御

1999年3月初旬、筆者は大学の保健体育専攻生のスキー実習を福井県内のスキー場で行っていた。講習の途中、筆者はゲレンデの端で、ゲレンデの下方を見ながら20秒ほど立ち止まっていた。再び滑りだそうと思っていた瞬間、殺気を感じた。
私の腰をかすめるかのように猛烈なスピードでスノーボードの若者がジャンプして通り過ぎたのだ。驚きとまさに命の危険を感じた。スノーボーダーが斜度の変わり目でジャンプしたのだ。
ちょっと間違えば大惨事になるところだったとの思いから、私は滑り去るそのスノーボーダーをスキーで全速力で追いかけた。200メートルほど行ったところで制止して詰め寄った。
20歳ぐらいの男性がしりもちをついてけげんそうに私を下からのぞいた。
私は「危ないじゃないか。人のすぐ横をジャンプして通るなんてどういうことだ」と気持ちを抑えながら注意した。すると若者は「あんたがワシの滑るコースに立っとったんや。ワシがジャンプせんかったら、あんたのスキー板を踏んでたんやで」と、まるで感謝しろと言わんばかりの調子で言い返してきた。

私はあきれながら、「立ち止まっていたんだから君の方がよけて通らなきゃならないだろう」と言うと、彼は「もうむかつく。あっちへ行け」と怒鳴り、話にならない。
私はこの15年間日本のスキー場の安全対策に携わり、スノーボードの発展にも尽力してきた。よくぞ言ってくれたと思いつつ、もっと一般の人たちにゲレンデのルールを徹底しなければならないと思った。楽しい雰囲気でやっていた講習がこの若者のせいで水を差されてしまったことも残念だが、とにかくスキー場のルールを守らせる環境が必要だ。ルールは難しくない。全く常識的なことだ。

1989年に全日本スキー連盟などで組織する「国内スキー安全基準」が制定された。現在はスキーヤー、スノーボーダーに対して次のような10項目の「スキー場の行動規則」が示されている。
@他の人への責任 
決して他人の体や持ち物に危害を与えてはならない
A行動の一般的な注意 
状況に合わせてスピードをコントロールし、いつでも人や事物を避けられるように滑り方を選ばなければならない
B先を滑る人への配慮 
後ろや上から滑っている人は、先を滑っている人の邪魔をしたり、危険がないように進路を選ばなければない
C追い越し 
追い越す時には、追い越される人がどのような行動をとっても、危険がないよう十分な間隔を残しておかなければならない
D下を滑る時の注意 
合流する時や斜面を横切る時、滑り始める時には、上と下に注意して、自分にも他の人にも危険のないよう確かめなければならない
Eコースをふさがない 
コースの中で立っていたり座り込んだりしてはならない。狭い所や上から見通しのきかない場所は特に注意する。転んだ時はできるだけ早くコースをあけなければならない
F登り・歩き・立ち止まりはコースの端で
G流れ止めをつける
H標識や警告・指示の尊重
I事故時の助け合いと立証の義務

〔福井新聞社提供〕



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