「スキー・スノーボード楽しく安全に」3

第00035号
2004年1月5日 更新

ウインター特集
「スキー・スノーボード 楽しく安全に」3

福井大学教育地域科学部助教授
全国スキー安全対策協議会調査委員会委員
日本スポーツ法学会会員水沢 利栄

低い保険加入率
万一備え補償策万全に

1988年5月北海道で51歳の男性Aさんが自殺した。Aさんは82年2月にスキーで滑走中に同じ斜面をスキーで滑走していたBさんに衝突。Bさんは脳挫傷で後遺症を負い働けなくなり、損害賠償を求める裁判を起こした。裁判所はAさんに対し約5500万円の支払を命じる判決を88年4月に言い渡した。Aさんはこの判決を苦に1ヶ月後自殺した。楽しいはずのスキーが悲惨な結果となった例だ。

スキーやスノーボードで滑走中に他の人と衝突したり接触してケガを負わせてしまう事故は毎年数え切れないくらい発生している。中には、頸椎損傷で両手両足麻痺となったり、死亡に至るケースもある。万一の事故に備えて補償対策を充実させておくことは重要だ。
交通事故で奪われる命も、スキー中に衝突して奪われる命も、損害賠償の額には変わりはない。車を運転するときに保険を掛けないでハンドルを握る人はほとんどいないが、スキー、スノーボードを行うときには車の運転以上に危険な場面が多いのにもかかわらず、保険の加入率はかなり低い。
スキーヤーやスノーボーダーに必要な保険は、傷害保険(自分がケガをしたときに入院・通院費用などが支払われる)と賠償責任保険(他人にケガをさせてしまったときに損害額が支払われる)を組み合わせておくことが必要だ。

98/99シーズン、ケガをしたスキーヤー約5900人とスノーボーダー約6800人に対して保険の加入率を調べた結果、傷害保険に「加入している」と回答したのは、スキーヤー40%、スノーボーダー25%、全体で32%。
賠償責任保険に「加入している」と回答したのは、スキーヤー28%、スノーボーダー21%、全体で23%であった。10人中7、8人は保険に入らずにスキー、スノーボードをしているわけだ。
同じ衝突されるのであれば、保険に入っている人がいいと冗談半分に願う人も多いだろうが、現実はうまくはいかない。保険に入っている人ほど安全に注意して滑っているとも言われる。実際には事故に遭うと泣き寝入りすることになる場合やトラブルの交渉が長引くケースが多い。

スキー・スノーボードに関する保険は各保険会社で取り扱われている。シーズン(1年間)単位の契約で傷害保険と賠償責任保険および用品の損害(盗難や破損)がセットされているもの(賠償額が5000万円、死亡・後遺症240万円、通院1200円/1日、入院2400円1/日、用品8万円の保障内容)で保険料は4500円程度。
シーズン中に、1,2回しかスキー場に行かない人には、国内旅行総合保険という保険がおすすめだ。これは、1日単位で保険料に応じて自由に傷害と賠償保険が組み合わせることができる。3泊4日だと400円程度で前記のような保障内容が得られる。
冒頭のAさんのような悲惨な事件をなくすためにスキー場に入場した人すべてが自動的に保険が掛けられた「スキー場入場者保険」を導入しているスキー場もある。

〔福井新聞社提供〕



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