ウインター特集
「スキー・スノーボード 楽しく安全に」2
福井大学教育地域科学部助教授
全国スキー安全対策協議会調査委員会委員
日本スポーツ法学会会員水沢 利栄
変わるけがの特徴
技能に応じた滑り方を
スキー場で発生するケガは時代とともに変遷している。1970年頃までは転倒したらスキー板が折れるか脚の骨が折れるか、という時代であった。70年代になりセーフティビンディングが普及し始めると骨折は減り、その代わり外れたスキーで顔や頭を切るケガが増えた。スキー板やスキー靴の性能がよくなり、ゲレンデ整備に圧雪車が導入されると、滑るスピードが速くなった。リフトは秒速1.5メートルの1人乗りから同4メートルの高速4人乗りへ。ゲレンデの密度は何倍にも増し、1日の滑走回数は格段に増えた。その結果、他の滑走者との衝突の危険性が高まった。
ケガの特徴は、転倒した際にスキーが捻られることによって脚を損傷すること。転倒してスキー板がちょっと捻られただけでも足にはテコの原理で相当な力が加わる。その力は膝関節を捻ることにつながる。これがスキーで膝の捻挫・靱帯損傷が多い理由だ。
あるシーズンの傷害報告書によるとスキーヤーのケガの種類は、1位は捻挫の34%で膝関節が最も多い。2位は打撲の24%で頭部に多い。3位は切挫傷の16%で顔面に多く発生している。
ケガの原因は、1位自分で転倒69%、2位スキーヤーとの衝突14%、3位スノーボーダーとの衝突11%となっている。
一方、スノーボードのケガの特徴は、転倒の際に主に上半身で衝撃を受けることだ。同シーズンのケガの1位は打撲の27%で体幹に多い。2位は骨折の22%で上肢に多い。3位は捻挫の21%で足首と手首に多い。原因の1位は自分で転倒77%、2位スノーボーダーとの衝突11%、3位スキーヤーとの衝突5%である。
スノーボードは新しいスポーツゆえ数年前まで大部分が初心者だった。緩斜面で逆エッジ転倒し脳内出血で10数人の初心者ボーダーが亡くなったのは6シーズン前のことだ。それから年をおうごとにボーダーの技能レベルが上がり、最近では中・上級者の大きなケガや遭難事故が増えている。最近筆者が心配しているのはワンメイクだ。専用のジャンプ台で宙返りや540度(1回転半)回転したりする。テレビや雑誌が煽(あお)るかのように見せ付けている。かなりの練習が必要なのに、着地ができない向こうみずの若者が、跳んでは頭や背中から落ちて“自爆”している。1999年にはこのワンメイクにスキーで挑んだ男性が首の骨を折り死亡する事故も起きている。
スキー、スノーボードでケガをしないためには、次の3つに心掛けることだ。これで9割のケガは防げる。
@転ばない
A衝突しない
B衝突されない。
この3つを実行するためには、
C自分の技能に合った斜面を選ぶ
D自分の能力に合った滑り方を選ぶ。
@〜Dを現実のものにするには、「1回も転ばせないで上手にする」という責任感を持った上手な指導者に習うこと。
よくゲレンデで、いきなり初心者をリフトに乗せ、山頂から、「転べ!転べ!」と指導?する人を見かけるが、言語同断だ。
〔福井新聞社提供〕 |