ウインター特集
「スキー・スノーボード 楽しく安全に」1
福井大学教育地域科学部助教授
全国スキー安全対策協議会調査委員会委員
日本スポーツ法学会会員水沢 利栄
スノーボード人気
スキー上回るけがの数
最近のスキー場は、一昔と比べると様変わりしてきた。ここ10年間スキー場に行ってないという人にとっては別世界に感じられることだろう。スキー場と呼ぶのがはばかられるほどにスノーボードの勢力が大きくなってきている。
スキーもカービング、ファンスキーなど新しい楽しみ方が流行しつつある。今シーズン、スキーやスノーボードを楽しく安全に行うには何が必要なのか?けがの実態、保険、事故をめぐる裁判、事故防止対策などの話題を連載する。みなさんの「転ばぬ先の杖(つえ)」としていただきたい。
スノーボードは、アメリカでは「1990年代の麻薬」といわれている。若者の心を引きつけ虜(とりこ)にした。日本でも同様だ。90年代中ごろからのブームは本国アメリカをしのいでいるといっても過言ではない。スノーボードに「はまり」、スキー場に何十回も通い詰める若者。単に滑れるようにるだけでなく、ジャンプで技を極めたり、パウダーと呼ばれるゲレンデ外の自然の深雪を求めたり。
北米や南半球にまで武者修行に出かける者も増えている。それだけ魅力が奥深いことを物語っている。不景気でスキー客の足が遠のいたがそのスキー場業界を救いもした。
一方でスノーボードには危険性も潜んでいる。手を出してその日のうちに尊い命を奪われた若者。禁止コースに入り遭難事故を起こした者も。若者ばかりか犠牲者の年齢は下にも上にも広がってきている。全国主要47カ所のスキー場で98/99シーズン発生した傷害を調査した結果、スキーでのけがは6390件、スノーボードでのけがは7480件。スノーボードのけがが全体の53%を占め、スキーの件数を上回った。10年前まではゼロだったわけだからまさに様変わりだ。スノーボードのけがの統計を取りはじめたのが7シーズン前。推移をみると95/シーズン23%、96/シーズン35%、97/シーズン45%、そして98/シーズンが53%。総人場者数ではまだまだスキーの方が多いのに、けがの件数ではスノーボードが上回った。それだけけがの発生率が高いことを示している。
全国に約700カ所あるスキー場のうち、当初は危険との理由で受け入れを禁止していたスキー場も年々解放の方向だ。今では9割以上のスキー場が滑走可となった。
スノーボードは長野冬季オリンピックの正式種目になった。にもかかわらず、スノーボードには不健康のイメージがぬぐえない。その理由はけがの多さ。そしてゲレンデでのマナーの悪さによる。滑走の邪魔になる座り込み。むちゃな滑走。雪上でたむろしてのたばこなど。これまでスキーヤーが築いてきたスキー場での秩序に対し新参スノーボーダーの振る舞いは無作法が多い。もちろんすてきなスノーボーダーもいる。スノーボードがスキーと共存し、真のスポーツとして発展するためには、安全面での指導と知識、ゲレンデマナーの向上が必要不可欠だ。
〔福井新聞社提供〕 |