スポーツ少年団のこと
スポーツ少年団は、財団法人日本体育協会がその創立50周年の記念事業として「一人でも多くの青少年にスポーツの歓びを!」「スポーツを通して青少年のからだとこころを育てる組織を地域社会の中に!」と願い、昭和37年6月23日のオリンピック・デーに創設した、「スポーツによる青少年の健全育成」を目的とする団体です。
そして将来的には、この青少年を中心とした少年団組織を核として、地域に住む全ての人がスポーツに親しみ実践できるクラブ、今でいう総合型地域スポーツクラブへの発展を図り、スポーツの大衆化・生活化を促進することを目標としています。
創設時、わずか全国22クラブ、753名でスタートしたこの運動は、当時豊かな国づくりを目標としていた社会情勢や、2年後に開催される東京オリンピックに向け高まっていた我が国のスポーツ振興の気運、国民のスポーツへの興味・関心の中で、大きな反響を呼び、全国へ着実に浸透しました。
以来38年、都道府県・市区町村各級本部での積極的な取組みや、直接現場で子ども達の指導に当たるボランティア指導者の熱意にも支えられ、平成12年度現在全国34,532クラブ、指導者182,000名、団員908,000名を擁する我が国最大の青少年スポーツ組織に成長しています。
これからのこと
他の青少年団体同様に、スポーツ少年団にも近年の少子化傾向が大きく影を落とし、ここ数年は団員の減少が続きました。
しかし一方、文部省の「小学生のスポーツ活動に関する調査」(平成7年)での、学校教育外でスポーツに係わっている子どもは55.4%、また日本スポーツ少年団が政令都市の子ども達を対象とした調査(平成10年)でも55.1%、つまり残り約45%の小学生が、いま現在、スポーツに触れ楽しさを体験していないし、その機会すら持っていないという実態があります。
中でも特に注目したのは、回答の中に多く見られた“スポーツは好きだしやりたい、でもしていない”との子ども達の声でした。
「一人でも多くの青少年にスポーツの歓びを!」という創設時の願いからしても、スポーツの楽しさを提供し、生涯スポーツの芽を育むスポーツ少年団活動の使命・役割はまだ十分果たしていないことを実感しました。
これからは、つい画一的になりがちな活動日・時間帯・内容等についても、コアを定めその他は参加するあるいは参加したい子ども達のニーズや能力に合わせフレキシブルに対応できるクラブ運営のあり方を模索する必要があるでしょう。さらには、指導者の方の中には、自分が指導する種目はベストワンでありスポーツ活動がベストワンと知らず知らずに思い込んでいる人はいないか。しかし子ども達にとっては、スポーツやその種目も立派な大人になるために必要な活動領域のワンオブではないのか、文化的活動等も組み込んだ青少年育成のためのトータルプログラミングが必要ではないか、少年スポーツの持つ限りない可能性をふまえつつも、その陥りやすい部分について十分な認識を持つ必要があります。
また、経済大国となりモノがあふれる今、昔と違って子ども達の姿が見えにくくなっています。遊びは子どもの本分だと言われますが、主体的に遊び・スポーツを成立させるために必要な三間、つまり「時間」「空間」「仲間」のうち、「時間」の余裕は塾や稽古ごと等が奪いとり、大人が介入しない子ども達独自の世界をつくる「空間」と「仲間」も、子ども達自身で確保することは残念ながら容易ではありません。
その状況下で、子どもの三間を整える役目が大人の手に委ねられるのも、止むを得ないことだとは思うのですが、活動の中味まで入り込む大人の過干渉が、今、少年スポーツの世界でも問題なので
す。なぜならば、そこに存在するのは係わる大人の価値観であって、決して子ども自身の価値観ではないのですから。大人の教えスギ、いじりスギ、練習しスギという三スギ症候群に、保護者の期待しスギという近視眼的スギ花粉が吹き荒れたら、本来は子ども達自身が、知識を使い判断して行動することにより知識を知力(知恵)へと昇華できる最良のトレーニングの場であるはずのスポーツ活動の場が、指導者の指示を待ち動くことに終始するあまり、自ら判断し行動する意欲や能力を喪失させる場になりかねません。
また、これも少子化の影響ですが、中学・高校運動部活動の衰退・停滞も大きな問題です。
スポーツをしたくても出来ない、出来なくなった中学生が増えています。これでは、小学生時代にスポーツの歓びを知った子どもの先行きが心配です。これまでの、小学生中心でも良しとした少年団活動も、多世代で構築する総合型地域スポーツクラブ育成と連動する中で、継続・持続をキーワードとしてとり急ぎ中学生時代の活動の場の保証を視野に入れた展開を図らなければなりません。
もう21世紀。国際化、情報化、機械化、高齢・少子化が益々進展するといわれる新世紀に、たくましく生きる子ども達を育てるため、今スポーツの効用が改めて見直されていますが、そのためにも、少年スポーツの世界は、子ども達による子ども達のための世界であり続けなければなりません。少年団の活動で、失われつつある子ども達の“群れ遊び”を取り戻したい。大人から、子ども達自身の新世界を保証できればと願いますし、指導者をはじめとする大人の方々の英知に期待したいと思います。