子どもの将来にわたる身体活動量の不足をどうするか

第0005号
2002年10月23日 更新

子どもの将来にわたる
身体活動量の不足をどうするか


早稲田大学人間科学部教授  竹中 晃二

      

健康スポーツの心理学
(竹中晃二編,大修館書店)より引用

 皆さんは実感していますか。今、子どもたちの身体活動量全般が減少して行っていることを。スポーツ少年団に関わって活動をされている皆さんは、実のところ、目の前で元気良く走り回っている子どもたちを見て、昔の子どもと比べて体力がなくなったなあ、根気がなくなったなあと感じておられるぐらいじゃないでしょうか。

 日本の子どもたち全体の活動量が少なくなっているなんて、実感はわかないかも知れません。しかし、確実に減ってきています。欧米でもこの傾向は指摘されており、たとえば、1日に消費する子どものエネルギー量は,過去50年間を通して、600-700 kcalも減少してきていることが報告されています。

 我が国においては,全国的に調査した統計資料が十分に整っているとは言えませんが、外遊びの頻度や歩数計による調査などにより、日常生活における身体活動量がどの程度減少してきたのかが明らかにされています.現在の子どもたちのテレビ視聴時間の延長、就寝時間の遅延、テレビゲームを含むところの遊びの質の変化を考慮すると、十数年前と比べて明らかにスポーツや運動を含めた身体活動量そのものが低下していることは推測できます。さらに、現在の便利な生活が進めば、今後とも、この傾向が強まっていくことは確実です。


 さて、このように子どもたちの身体活動量の低下が進めばどうなるでしょうか。彼らが大人になる頃には生活習慣病が蔓延する世の中になっているかもしれません。じゃ、皆さんが今できることは何でしょうか。すばらしい選手を育てること、これはコーチの誰もが持つ夢です。しかし、単にサッカーや野球のある技術ができたとしても,子どもたち全体が日頃動いていないとすると,身体全体のコーディネーションやしなやかな動きなどは期待できません。しかも、運動・スポーツを行おうとする子どもの数が減って行くことも予想されます。

ここで、皆さんがやらなければいけないことは、勝負にこだわるのではなく、身体を動かす楽しみをいかに子どもたちに植え付けるか。つまり運動・スポーツの習慣づくりを行わせることではないでしょうか。 この習慣づくりは、単に子ども時代だけではなく、成長後も続くものでなければなりません。



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