燃え尽き症候群を考える!

第0004号
2002年8月4日 更新

燃え尽き症候群を考える!


山梨大学 教育人間科学部 教授 遠 藤 俊 郎

 小学校や中学校でスポーツに打ち込んでいたものが、中学校や高校に進むと「これまで十分やったからもういいや!」とやる気を全く見せなくなったり、もしくはスポーツから離れてしまう、という問題が叫ばれて久しい。これは、バーンアウト・シンドローム(burnout syndrome:燃えつき症候群)、もしくはバーンアウトと呼ばれている現象である。

 バーンアウトとは、「長い間の目標への献身が十分に報いられなかった時に生ずる精神的・情緒的・身体的疲弊状況」と考えられている。燃えつきる選手の多くは、

  (1) 競技での成功経験→
  (2) 熱中:競技に熱中・没頭した時期がある→
  (3) 停滞・低下:ケガ、記録の停滞等による自己の成績への不満→
  (4) 固執・執着:それでも競技に打ち込み続ける→
  (5) 消耗:情緒的ストレス反応(不安感、イライラ感、悲哀感、自尊心の低下)、心身症的反応(息切れ、胃腸障害、不眠、高血圧)、対人関係の悪化、等の顕在化→
  (6) バーンアウト

、といったプロセスを経ることが知られており(中込・岸、1991)、各段階での兆候を見逃さず対処することが重要である。そのためには、トレーニング日誌の利用、心理検査等を利用しての定期的な心理的コンディションのチェック、スポーツ心理学者等による専門的サポート体制の充実、等が求められる。

 さらに、図1は、スポーツの基本的技術を多面的に修得する準備期と捉えられる小学生期におけるバレーボール選手に関して、燃えつき度の高低によって第1回で御紹介した指導者の勢力の認識がどのように影響されるかを示したものである(遠藤、1996)。

 図を見るとネガティブな側面を持つ罰勢力以外は全てバーンアウト得点の高い群の得点が低い群に比べて得点の低いことが解る。特に専門・参照性勢力においてはその差が有意であった。専門・参照性には、その種目に対する興味を喚起させる機能があり、また、練習意欲の喚起にも強く影響を与えられると考えられる。

 したがって、バーンアウトの傾向が強いと専門・参照性勢力への認知が低くなり、児童のバレーボールへの興味、練習意欲を低下させることが考えられる。また、鈴木(1995)は、一流選手の場合は、スポーツへの取り組みが自律的でない場合はバーンアウトが一層悪化していく傾向にあるが、競技活動の特に初期の段階では指導されることを素直に聞き入れ、それを実行することが期待され、それによって上達していくのであろうと述べている。

 バーンアウトせず将来的にも継続的なスポーツ活動に従事できるように児童期におけるスポーツ活動は指導者の罰勢力の影響をできるだけ最小限にして、逆に専門・参照性勢力の影響が大きくなる様に我々指導者は意識することが重要であろう。

 



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